RSウイルス患者最多、乳幼児流行 静岡県、早期受診を呼び掛け

静岡県は16日、乳幼児の代表的な呼吸器感染症「RSウイルス」について、6月下旬に県内で過去最多の患者報告数を記録し、それ以降も流行が継続していると発表した。保護者らがマスク着用と手洗いを励行し、「症状が出たら早期の受診を」と呼び掛ける。

 県によると、6月21~27日に県内89の小児科定点医療機関から報告された患者数が1施設当たり8・67人に上った。比較できる2007年以降で最多だった17年9月11~17日の4・10人を大きく超えた。

 それ以降も6月28日~7月4日が6・64人、7月5~11日が7・33人と高水準で推移した。患者の大半が2歳以下。地区別は東部2・69人、中部7・44人に対し、西部が12・17人と高い。

 感染流行の原因について、県は新型コロナウイルス対策が徹底されてきた影響を挙げる。対策によりここ1年半ほどRSウイルスの流行がなく、「(RSウイルスの)免疫のない子が多くいるためではないか」という。

RSウイルスは2歳までにほぼ全員が一度は感染するとされる。生後数カ月の乳児は気管支炎や肺炎などの重篤な症状を引き起こすケースがある。


■集中治療患者5人 こども病院

 静岡県の記者会見に同席した県立こども病院(静岡市葵区)の坂本喜三郎院長は、15日時点で集中治療が必要なRSウイルスの小児患者5人が同病院に入院していると報告した。医療負担が大きく、この状態が続けば小児医療全般に影響を与えかねないとの見解を明らかにした。

 坂本院長によると、内訳は超重症患者が4人、重症患者が1人。重症レベルでない患者も6人いて、計11人が入院中という。

 同病院は集中治療室(ICU)を20床程度運用している。RSウイルス患者だけに対応するわけではなく他の疾患で予定された手術の延期を要請する恐れが生じつつあるとした。

 坂本院長は対応策として県内の小児科と連携し、「危機回避体制を構築している」とした。その上で「必要な小児医療が実施できなくなる可能性がある。重症化にならないタイミングで受診し、治療してほしい」と強調した。